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後も、続々と隕石は落下してきた。 なかには固まって落ちてくるはずのものがコースを誤って編隊からバラけてしまったモノも居た。 先のバンブルもそうだったし、このアイアンハイドもその一人(人間じゃないけど)だった。 彼の本来の着陸地点はアライアンス本部であった。 もしもそこに無事着陸できていたら、盛大な歓迎にて持て成されただろう。人類存亡の要なのだから。 だが幸運にも目的地には距離的にはそう離れていなかった。そしてまたもや幸運にもそこもアライアンスの領地だった。 着陸後には無事、仲間の下へと送り届けられるだろう。そして盛大に歓迎もされるだろう。 アライアンスの上層部はそこにチャンと連絡をしておいたからだ。 『ドエライ機械生命体がトチ狂ってあんたんとこ落ちちゃうからトッ捕まえてこっちもってきてくんない?』 だから歓迎ムードは既に整っていた。ムンムンムラムラと伝わってくる。 因みに落下地点はトライトン研究所、アライアンスの異端、キサラギ派の実験場だった。 『『『随分と調子良さそうだねえ、ねえ、ねえ!!!』』』 歓迎員の三機のRUSYANAがそろって語りかけた。 一見すると優しい声だが、その裏には歓迎もとい解剖もとい実験したいというマッドで科学な欲求がドロドロと溢れていた。 『ナノマシンにそそられました』『変形機構に感動したました』『下半身をスキャンしてスキャンシテェエエエエエエ!!!』 ……訂正する。ボコボコと吹きもれていた。 サイバトロンが馬鹿なのか、そう言う習性なのか分からないがアイアンハイドも着陸は下手だった。 さすがにクレーターは出来なかったが体の半分ほどを地中にこんばんわしていた。 やっとの事で身を引き抜いたアイアンハイドは目の前のRUSYANAにビックリして、プラズマ砲を撃ってしまった。 だがそれはすんなり直撃した。RUSYANAたちは一歩も動かなかったからだ。 機械生命体どおしの戦いだったならかなりの損傷だっただろう。 しかしRUSYANAには一つも傷が付いていないかった。 真白に塗装された装甲の周りに蒼いバリアが張られていた。 ただの対EN防御スクリーンだったがそれを見慣れぬアイアンハイドは驚きたまげて転んだ。 『『『『『『『『『『『『『くやしいのうwwwwwwくやしいのうwwwwwww』』』』』』』』』』』』 いつの間にやらいっぱい増えたRUSYANAよってに簀巻きにされたアイアンハイドは研究所内へと運ばれていく。 本部直々の輸送完了時間までまだ間が合ったので、キサラギは大歓迎した。 その日、AMIDAが初の自力飛行を果した。 美しい女の肉体を持っているが脳みそは男のイヤン・ウホ・オソカッタジャナイカは ラジオでも聞いているのだろうかイヤフォンを耳に刺していた。 映画にしか出てこないような戦車帽を被ったぢもちのヴォルフガングは一番後ろの座席で自前の座布団を敷き座っていた。 タクマシイ裸に黒い革ズボンと言う変態な格好のメガマッチョマックス(通称MMM、又はM3と呼んでくれ)は オペレータでもある、いまだ幼さが残るニャルとラトとテップの三姉妹を優しく腕に抱き、眠っていた。 彼らは自身の穴倉からどデカイかまぼこに拉致られてガタゴトと揺られていた。 レイヴンである者のACはかまぼこの内部に格納されている。 かまぼこがアライアンスの敷地に侵入し揺れが収まると警務兵のライフルにマガジンが叩き込まれている事がイヤンの目に止まった。 彼らは第一戦闘態勢時でないかぎり銃に弾薬を込めることがご法度なので腰にぶら下げて置くのが“通常”であった。 つまるところ今がその第一戦闘態勢なのだろう。だからレイヴンたちは呼ばれたのだ。 イヤンは最近の情勢からバーテックスとの折り合いがついに終ったのだなのと思った。 そうでないとしてもどうせ私たちは戦わなくてはならないのだと、笑らった。 それがレイヴンと言う人間の“通常”なのだから……。 そんな事を考えていたらかまぼこが停車した。 拉致被害者達はかまぼこを降り、コンクリで舗装された地面を踏んだ。 案内に支持されたとおりに進んでいく。 イヤンが此処に来たのは初めてではなかったが、昼夜の暗さを変化の度合いに入れてもお釣りが来るくらい辺りは変わっていた。 黄色い作業用重機が大小様々な兵器を運んでおり、時間が無いのかMTは自走をしていた。 それだけでも異様だったのにさらに異様でへんてこなものを見せられてイヤンは口をあんぐり開けた。 幼い三姉妹たちはそれを見て、 「うわ、赤くてでっかくてトレーラートラックだ」 「ぽるしぇーぽるしぇー、ぎんいろっ!」 「き、き、黄色い救急車や!キチガイだ!キチガイが逃げたぞ!!!!」 開けた場所にそれらは刺さっていた。 というかバカモノが空から降ってきた際に辺りのものをふっ飛ばして刺さったからそこは開けているのだった。 「これを貴方達で引き抜いてもらいます」 そうアライアンス職員が述べた直後、アスファルトを粉砕する音が聴こえた。 『おれ、アナルに薬塗る時間だから帰るわ。迷惑ならないように、それふっとばすから、退いてくんない?』 拡声器にて膨張されたヴォルフガングの声。そして向けられる銃口。否、砲塔。 退いてくんない、と言ったまもなくその方は発射され、まもなくそこは崩壊した。 トレーラーもポルシェもキチガイ救急車も、無くなっていた。広大なクレーターが形成されていた。 生きているものと言えば、髪の毛をアフロにしたイヤンと、暗黒三人娘と、彼女等を庇って背中に大火傷を負ったMMMだけだった。 イヤンはわなわなと身体を震わせて、飛び跳ねるようにしてどこかに去った。 MMMの火傷は超人的な速さで癒え、元通りになっていた。 「きんにくだものね」 「うん、きんにくだもの」 「絶対おかしい、絶対おかしい!」 そう言う三人娘を抱きかかえ、奇跡的に崩壊を免れたハイパーチェストへ乗り込んだ。その姿はじつにマッスルだった。 「絶対、おかしい。おかしいよMMM!」 三女ことお茶くみテップはまだそのネタを引きずっていた。だがそうでは、なかった。 ずいっと人差し指を点滅するメーンディスプレイへと向けたのだった。 「もう日の出ていい時間なのに、出ていないよMMM!!」 そうだ。もう、世界の崩壊は止められない。 レイヴンたちは、戦わなくてはならない。 続く・・・・・・
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